motokaiho’s blog

元海保の体験談

【消防士との熱き友情】たった一つのライトが世界を変えた

どうも、元潜水士です。

 

現場でよく連携する消防の方々との面白エピソードがありましたので、ご紹介させていただきたいと思いました。

引用元:フォトAC

消防の方と連携するのは、車両転落や河川氾濫などの水辺の事故や、ヘリ救助後の要救助者引継ぎなどがあります。

 

あとは国際緊急援助隊(JDR)の訓練の時に知り合うといった形もあります。

 

そんな中、今度一緒に訓練しましょうよ!とか、潜水訓練レクチャーしてください!みたいな流れがあったので、後日車両転落を想定した訓練を、消防と合同ですることが決まりました。

 

訓練当日

 

巡視船の留まる岸壁にて訓練準備をしていると、消防の潜水班が到着。

 

挨拶に来てくれた潜水班長以外はなぜか敵意むき出しの状態となっておりました。

 

え?なんでそんな怖い顔してるの?

 

話をしてみると、潜水班の皆さんは消防歴が長く、ベテラン揃い。

 

潜水についても何年もやっているみたいで、なんで俺らが教わらなきゃいけないんだ?みたいなオーラがむんむんしておりました。

 

極めつけは、「君は若そうだけど、潜水何年目?」みたいな質問をされ、潜水士になってから3年ですね。と答えると、「俺5年」みたいな感じで鼻で笑われてしまいました。

 

なんだこの雰囲気。

 

いつも現場でそんな感じだったっけ?

 

まぁしょうがない。訓練で見せつけてあげましょう!実力の差というものを!

 

「潜水歴の差が潜水能力の決定的差ではないということを教えてやる

 

そんなどこかの偉人の名セリフをパクって訓練ミーティングを実施。

 

訓練内容は以下の通り

 

①車両転落発生→現場到着

②目撃者に転落位置の確認

③臨時潜水班長が捜索方法を決定

④捜索

⑤車両内の要救助者を岸壁に吊り上げる

⑥心肺蘇生→病院搬送→訓練終了

 

潜水班長は消防ダイバーにお願いし、海保の潜水士(私を含む2名)はとりあえず指示に従うことにした。

 

訓練開始

 

現場に到着し、位置の確認ができたところで、消防ダイバーが捜索方法を提案

 

消防「岸壁から近いので、岸壁沿いに平行捜索を実施しましょう」

 

まぁ問題ないかな。

 

消防「1番員、2番員は海保の方お願いしていいですか?」

 

自分「え?それじゃ訓練になりませんよ?」

 

消防「・・・確かに。じゃあ中番お願いします。」

 

自分「この場所はヘドロまくと視界が無くなりますので、1番と2番は絶対にまかないように索を張ってくださいね」

 

これはお笑いでいう降りではなく、ガチのお願いだった。ヘドロはまくと視界が戻るのに時間がかかるし、おそらくまいたら2番は索を張れないと思った。

 

消防「それくらいわかってますよ!」

 

しかし、嫌な予感は的中し、現実となった。

 

3番員で潜ってみると、そこはヘドロの世界。1番員は私と目も合わせてくれない。そして何より、2番員は索を張れていないで、方位も間違っている。

 

とりあえず2番員のところに向かい、索の張る方向を指示。

 

だが、思ったより視界がなくなってテンパっているのか、足でヘドロをまき、頭は海面方向。おそらく上下左右がわからなくなってしまっている。

 

これは捜索にならないと思い、一度海面に浮上することにした。

 

視界が戻るまでの時間、潜降方法を見直す。

 

自分「海面で索を張った状態で潜り、そのまま捜索しましょう。」

 

いつの間にやら自分が班長みたいになり、潜水訓練を再開。

 

しかし、どうしてもヘドロをまいてしまったり、浮上してしまったり、ラジバンダリ。

 

ちょっと訓練にならないと判断したので、一度訓練を中断することに。

 

すると、一人の消防ダイバーが慌てている。どうしたのかと聞くと、高額の高性能ライトを落としてきたとのことだった。

 

失くしたら始末書だ

 

そんなことを言いながら騒いでいるので、海保の潜水士でお手本ではないですが、捜索して見つけてきます。といって潜水開始。

 

捜索開始から約1分。速攻でライトを見つけライトを掲げながら浮上すると拍手喝采!

 

やっぱり海保の潜水士さんにはかないませんわぁ!

 

掌が返ったかのような大絶賛。

 

しかし、このライト事件のおかげで殺伐とした空気がなくなり、潜水の方法などが話しやすくなり、訓練も無事に終了。

 

飲み会も大盛り上がりで、かなり連携が深まった良い出来事でした。

 

その後、消防の訓練にも参加させてもらったり、救急車に同乗させてもらったりと、色んな経験をさせていただき、今でも良い思い出となっております。

 

これからも消防と海保が良い連携をして、要救助者を救助していってもらいたいと思っています。