motokaiho’s blog

元海保の体験談

【冷静と情熱のあいだ】水深30mの恐怖、突然争いを始める潜水士

冷静と情熱の間はどこでしょうか?

引用元:フォトAC

学校や職場で急に喧嘩を始める人、たまにいませんか?

 

海保の時代にもいたんですよね。結構血の気が多い人がいたもので、言い争いなんてしょっちゅうでした。

 

一時期乗っていた巡視船でも、ボウスンがやたらと船長と揉めていて、最終的には搭載艇降ろし方の時に、ボイコットして部屋に戻る暴挙を繰り広げていました。

 

そんな人でもクビにならない素敵な職場が

 

海上保安庁です。

 

さて、そんな血の気が多い集団、海上保安庁ですが、その中でも血の気が多いグループがあります。

 

潜水士です。

 

潜水士は日々海難を想定した訓練を実施し、要救助者を救助するために

 

頭は冷静に心を燃やしております。

 

そんな訓練の最中は怒号が飛び交い、新人はベテランにボロクソ言われながら成長していきます。

 

先輩やベテランはよく言います。

 

常に頭は冷静じゃないといけないんだ!

 

なるほど、海難現場で冷静な判断ができないと、確かに危険だ。要救助者はもちろんのこと、バディにも危害が及んでしまう可能性がある。

 

私は常に冷静であることを心がけようと決意しました。

 

そして、そんな訓練の成果を発揮する海難が発生しました。海底30mに沈船が発見されたため、捜索をすることとなったのです。

 

最近捜索依頼があったが、発見に至らなかった行方不明船舶の可能性が高く、船長と息子さんがまだ見つかっていない状況でした。

 

潜水班も皆気合が入り、捜索方法を熟考。潜水班を2つに分け、私を含む先輩2人と最初に捜索しに行くことになりました。

 

現場海域到着前に役割を決めることになり、私は一番員で索と時間管理、先輩二人で捜索と写真撮影、場所の特定をする役割となりました。

 

現場に到着し潜水開始。時間が限られているために一気に潜降しようとしましたが、先輩が耳抜きに時間がかかっている状況。

 

ジーッと見ていると、明らかにもう1人の先輩が苛立っていることがわかりました。

 

うわぁ、怒ってんなぁ。

 

少し時間をロスしましたが、無事海底に到着、捜索を開始。

 

先輩2人が捜索している状況をコンパスと索で確認しながら、残りの潜水時間を確認。

 

なかなか沈船発見の合図が来ないので、心配になってきましたが、まだ時間があるので様子を見ていると、発見の合図がやってきました。

 

しかし、潜水可能時間が迫っていたため、捜索終了、集まれの合図を送る。

 

反応なし

 

集まれの合図を再度送る

 

反応なし

 

何やら索にテンションが張っていない。嫌な予感がする。

 

時間がないので無理やり索を引っ張りよせ、二人を回収すると、何やら水中で言い争っていました。水中では殆ど喋れないのに。

(頑張れば通じる時があります)

 

時間がないので浮上する旨を伝えると、二人とも血走ったような目でこちらを睨んできましたが、こんな時こそ冷静に対応し、なんとか浮上して減圧ステージまで到着。予防減圧を開始しました。

 

30m潜って捜索していたとしても、ボンベを吸いきることはない状況にもかかわらず、二人のボンベは空になっていました。余ほどのことがあったのでしょう。二人は減圧ステージでも揉めていました。

 

そう、減圧ステージのボンベを吸い尽くす勢いで、、、

 

予防減圧が終わり、水面に浮上、現場の状況を後発班に引き継ぎ待機することに。待機中何があったか聞いてみると、なんともしょうもない答えが返ってきました。

 

捜索中、沈船を発見したので、まずは位置と現場の状況を確認しようとしたところ、一番ベテランの先輩が真っ先に沈船に侵入しようとしたらしい。

 

それを止めようとした先輩と口論になり、沈潜の上、水中にてブレイキングダウンが始まったとのことでした。

 

いやいや!全然冷静じゃないやん!!

頭イかれてるやん!!

 

もう、あんさんの言うことなんも信じられへんし、訓練時も偉そうなこと言わないで!!

 

みたいな内容でしたが、そんな先輩でもクビにならない素敵な職場

 

それが海上保安庁です

 

その後、後発班により沈船の捜索が行われましたが、行方不明者を発見することはできませんでした。その海域は潮流もあり、おそらく船舶から流されてしまったと考えられます。

 

後日談、しばらくして先輩潜水士は潜水士を辞めさせられ、陸上に飛ばされました。

 

 

 
 
 
 
 
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