海上保安庁【裏】広報部

元海保が勝手に海上保安庁の広報を担当します

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【海上保安官と海産物は友だちになることはできるのか?】

海上保安官と海産物は友だちになることはできるのか?

怖い魚

引用元:フォトAC

皆さんはダイビングなんてやったことありますか?おそらく日本のダイビングスポットは穏やかな場所が多く、視程も良好な場所が多いのではないでしょうか?

そんな海の中での出会いといえば、ニモでお馴染みのクマノミであったり、亀仙人の相棒であるウミガメであったり、平べったいマンタであったりと、非日常的な空間で非日常的な海の生き物達と出会うことができると思います。

ダイビングをしてみよう

ときにはクラーケンの異名を持つたこ焼きモンスターのタコと遭遇したり、頭トンカチついてますよ?といったハンマーヘッドシャークなんかにも遭遇したりすることでしょう。私はタコが海底で丸まっているのを始めてみたときは、捕まえて食べてやろうかと思いましたが、異様な大きさと足を丸めて円になっている姿を見て恐怖を覚えてしまいました。そして逃げました。

そんな出会いが多くある中、海保の潜水士が潜る海は主に視界が悪く、底うねりが激しい場所でもあり、ダイビングを楽しんじゃおう!なんて海とは程遠い場所で潜っています。

そんな場所で出会うことができた、私の海の友達を紹介させていただきたいと思います。

海産物との熱き友情物語

EPISODE1 AWABI

海難発生

巡視船にて潜水士をやっている頃の話です。通常業務に勤しんでいるとき通信科に無線が入りました。

あ、海難だ

私を含め、ワッチをしている人間全員の表情が変わりました。できれば遠いところより、近いところがいいな。と思っていると、通信科から海難があったことを報告されました。

幸いなことに場所は近くの岩場で、釣り人が行方不明となっているため、捜索してほしいとの依頼でした。潜水班は捜索の準備を、支援班は搭載艇の降ろし方準備を開始。すぐに現場海域に向かいます。

近くの岩場に到着すると、波が高く搭載艇がこれ以上近づけないため、潜水士が泳いで岩場まで向かい、そこから捜索を開始しました。

AWABIとの出会いと別れ

岩場付近は岩場への吸い込みも大きく、泡がたって視界も悪い、しかもうねりが大きく体制を維持するのも大変でした。潜水班もバラバラにならないよう索を使用して繋がっているため、一人がうねりで流されると全体の体制が崩れてしまうので、皆必死に抵抗しながら捜索を行っていました。

私もうねりに抵抗していたのですが、強いうねりが来たときに

ああ、このまま流されてしまおうか

なんて思いも過ぎっていたその時、岩場から私を助けてくれる海産物と出会ったのです!

アワビ

そうアワビです!

このアワビさんは岩場に吸着する力がハンパじゃないんです!うねりに負けそうな私が、アワビが差し伸べてくれたその身を掴んでぶら下がってもびくともしません!むしろ余裕そうな顔をしていました。

(顔は見えませんでしたが)

よく見ると、貧弱な私を助けようとアワビたちが岩場で私を待っている姿が見え、私は涙が出そうでした。

ありがとう!友よ!!

そこからの捜索は、アワビの力を借りたことによって、スムーズに進みました。そして岩場の中に吸い込まれてしまった釣り人を発見するに至りました。残念ではありますが、釣り人は亡くなっておりましたが、ご遺体を御家族のもとに帰してあげることができて良かったと思っています。

アワビのおかげです

少し注意喚起になるのですが、こんな荒れた状況の岩場付近で釣りをすると、今回のように海に落ちて、体中傷だらけになって、岩場に吸い込まれて、苦しみながら亡くなることがありますので、自分は大丈夫と思わないように危険察知能力を身につけることをおすすめいたします。

motokaiho.hatenablog.com

そして捜索が終了し、搭載艇に泳いで戻るときに岩場を見ると、アワビたちが笑顔で私を見送ってくれていたのが見えました。

元気でな!友よ!

そんな声が聞こえたような聞こえなかったような気がしました。私もアワビ達に感謝の気持ちを伝えました。

ありがとう友よ!皆が密漁されないように私が皆を守るよ!!

motokaiho.hatenablog.com

そして今生の別れを済ませ巡視船へ帰船。新たな友達との出会いと別れを経験いたしました。

EPISODE2 HOYA

岩場での強い味方

海での出会いはアワビだけではありません。東北で潜った際には東北名物ホヤぼーやというキャラクターいるほど現地ではソウルフルな海産物、そうホヤに助けられたこともありました。内容はほぼアワビの時と一緒で、ホヤが微笑みかけてくれたので甘えて捕まらせていただきました。本当にホヤも力強く、何回も助けていただきました。

その後捜索が終わって別れたのですが、すぐに再会することになりました。

そう、居酒屋でね

昼間ともに命を懸けて行方不明者を捜索し、熱い友情が芽生えていたのですが、再会したのは居酒屋のテーブルの上。彼らは「ばくらい」という塩辛になりはてており、テーブルから私を見つめておりました。何とも言えない気持ちになりましたが、日本酒をクイッと飲み、友達に手をかけました。

意外と美味しい

先ほどまでの友情はどこに行ってしまったのか、その後はパクパクと食べてしまい、私は東北を後にしました。今もホヤ達は元気に育ち、東北のソウルフルな食べ物として振舞われているのでしょう。私もたまには東北に行ってみたいものです。

心の友よ!!

EPISODE3 WAKAME

友達になれなかった海産物

こんな海産物と友達になる私ですが、友達になれないどころか、手を突き放された海産物がおります。

そう、ワカメです。

このワカメちゃんはかなり陰湿な海産物で、私が捜索しているときに底うねりをモロに食らっていると、うねうねうねっと手を差し伸べてきてくれるんです!こちらもありがとう!助かったよ!とその手を握ろうとしても、うねうね動いて中々掴ませてくれないんです。どうにかこうにかタイミングを計って手を握ることに成功しても、ぬるぬるして掴むどころの話ではなく、逆にバランスを崩して潜水班に迷惑をかけてしまいました。

ぷっ、ダサっ。

そんな声がワカメから聞こえてきた気がしました。初めて海産物に裏切られたこともあり、その日の捜索はテンションがダダ下がりでしたが、どうにかこうにか捜索をやりきることができました。海底から浮上する際、ワカメがこっちに向かって不敵な笑みを浮かべて手を振っていたことは未だに忘れることができません!

皆さんもそんな海産物に遭遇したいですよね?ウミガメやマンタ、クマノミだけが海の生物ではありません。海の中にはもっとワンダフルな生物がたくさん生息しています!皆さんも海の中で貴重な体験をしに行きましょう!!

 

海上保安庁【裏】購買部の記事はこちら!!

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